月と太陽と記憶喪失者
しなびて腐乱した果実みたいな雨 乾ききった爪先が痺れるほど重い雫
積み重ねるピラミッド 神経症の男 うわごとばかりの女
老婆は足をもつらせひっくり返る 娘は黙って見ている
雨と砂は一向に混じる気配なく空中はファンタジー
いもせぬ王の為繰り返す悲喜劇は降りる幕のないドラマ
悪魔は赤い色に黄色を垂らしてオレンジ色にした
女神は替わりにそいつを身に纏うことにした
願い事教えてよ
ぼくは彼女のこめかみ押さえながらこう訊ねる
天使の絶え間ない笑い声がしてる
宇宙はせがまれその一瞬を吹き消す